はじめに
「介護記録を書くのに時間がかかる」
「業務が終わってから記録をまとめるのが大変」
「書きたい内容はあるのに、文章にするのが苦手」
このように感じている介護職の方は多いのではないでしょうか。
介護現場では、食事介助、排泄介助、入浴介助、見守り、申し送り、家族対応など、日々多くの業務があります。
ルーティン業務で手一杯になり、記録や書類業務に十分な時間を取れないことも少なくありません。
しかし、介護記録は利用者の状態を共有したり、ケアの継続性を保ったりするために欠かせない大切な業務です。
そこで役立つのが、ChatGPTです。
ChatGPTを使えば、記録文の言い換え、文章の整理、申し送り文の作成、ヒヤリハットの振り返りなどを効率化できます。
この記事では、介護職向けに「介護記録作成を時短するChatGPTプロンプト」を10個紹介します。
コピペして使える形でまとめていますので、個人情報に注意しながら活用してみてください。
ChatGPTは介護記録を「代わりに書く道具」ではない
最初に大切なことをお伝えします。
ChatGPTは、介護記録を完全に任せるための道具ではありません。
介護記録には、利用者の状態、実際に行ったケア、職員の観察、チームで共有すべき内容などが含まれます。
これらは現場で関わった職員だからこそ分かる情報です。
そのため、ChatGPTはあくまで、
- 書き方を整える
- 文章を分かりやすくする
- 内容を整理する
- 表現の幅を広げる
- 記録のたたき台を作る
ための補助ツールとして使うのがおすすめです。
「記録を丸投げする」のではなく、「自分が見た事実を、分かりやすい文章にするために使う」という意識が大切です。
介護記録でChatGPTを使うメリット
介護記録でChatGPTを活用すると、主に3つのメリットがあります。
記録作成の時間を短縮できる
記録を書く時に時間がかかる理由の一つは、「どう書けばよいか」で悩むことです。
例えば、
「落ち着かない様子だった」
「食事中にむせ込みがあった」
「トイレ誘導に応じてもらえなかった」
といった出来事を、介護記録として適切な文章にするのは意外と難しいものです。
ChatGPTを使えば、箇条書きのメモを記録文らしい文章に整えることができます。
表現の偏りを減らせる
介護記録を書いていると、いつも同じような表現になってしまうことがあります。
例えば、
「変わりなく過ごされる」
「穏やかに過ごされる」
「声かけにて対応」
といった表現ばかりになると、具体的な様子が伝わりにくくなります。
ChatGPTに言い換えを依頼することで、より具体的で伝わりやすい表現を考えるきっかけになります。
申し送りや情報共有に活用できる
介護記録は、次の勤務者への情報共有にもつながります。
ChatGPTを使えば、長いメモを短くまとめたり、申し送りしやすい形に整理したりできます。
忙しい現場では、情報を分かりやすく整理するだけでも大きな時短になります。
ChatGPTを使う前に必ず守る注意点
介護記録にChatGPTを使う場合、必ず守るべき注意点があります。
個人情報は絶対に入力しない
利用者の氏名、住所、生年月日、電話番号、家族構成、具体的な病名、施設名など、個人が特定される情報は入力してはいけません。
悪い例:
山田花子様、87歳、〇〇市在住。アルツハイマー型認知症。昼食時にむせ込みあり。
良い例:
80代女性利用者。昼食時にむせ込みが見られた。介護記録として分かりやすく整理してください。
このように、個人が特定されない形に変えてから使いましょう。
AIの文章をそのまま使わない
ChatGPTが作った文章は、必ず自分で確認して修正しましょう。
AIは自然な文章を作れますが、現場の事実と違う内容を付け加えることがあります。
記録では「実際に見たこと」「実際に行ったケア」を正確に残すことが大切です。
医療的判断をAIに任せない
むせ込み、発熱、転倒、皮膚状態の変化、服薬、痛みの訴えなどは、必要に応じて看護師や上司に報告し、職場のルールに従って対応する必要があります。
ChatGPTは医療的な判断をするための道具ではありません。
あくまで文章整理の補助として使いましょう。
コピペで使える介護記録プロンプト10選
ここからは、実際に使えるChatGPTプロンプトを10個紹介します。
そのままコピペして使えるようにしています。
利用する際は、個人情報を入れず、内容を一般化して入力してください。
プロンプト① 箇条書きメモを介護記録に整える
忙しい現場では、まずメモだけ残して、あとから記録にすることがあります。
そのような時は、箇条書きの内容を文章に整えてもらうと便利です。
コピペ用プロンプト
以下の箇条書きメモを、介護記録として自然で分かりやすい文章に整えてください。事実のみを記録し、推測や決めつけは入れないでください。
【メモ】
・昼食は主食8割、副食全量摂取
・食事中に軽いむせ込みあり
・水分摂取後は落ち着く
・食後は居室で休まれる
出力例
昼食は主食を8割、副食を全量摂取された。食事中に軽いむせ込みが見られたが、水分摂取後は落ち着かれた。食後は居室にて休まれている。
使う場面
食事、排泄、入浴、活動参加など、日々の様子を記録する時に使えます。
特に、短いメモを記録文に直したい時に便利です。
プロンプト② 主観的な表現を客観的な記録に直す
介護記録では、「不機嫌だった」「わがままだった」などの主観的な表現は避けた方がよい場合があります。
その代わりに、実際に見られた様子を客観的に書くことが大切です。
コピペ用プロンプト
以下の文章を、介護記録に適した客観的な表現に直してください。感情的な表現や決めつけを避け、観察できた事実を中心にしてください。
【文章】
今日は機嫌が悪く、何度も怒っていた。
出力例
本日は声かけに対して強い口調で返答される場面が複数回見られた。表情は硬く、他利用者との交流は少なかった。
使う場面
利用者の言動や表情を記録する時に使えます。
「怒っていた」「不穏だった」だけで終わらせず、実際にどのような様子だったかを記録する意識が大切です。
プロンプト③ 短すぎる記録を具体的にする
「変わりなく過ごされる」という記録はよく使われますが、それだけでは具体的な様子が伝わりにくいことがあります。
ChatGPTに具体化してもらうことで、記録の質を高めるヒントになります。
コピペ用プロンプト
以下の短い介護記録を、より具体的で分かりやすい文章にしてください。事実として確認できる内容のみを使い、不要な情報は追加しないでください。
【記録】
本日も変わりなく過ごされる。
出力例
本日は食事、水分摂取、排泄、活動参加に大きな変化は見られず、日中は共有スペースで穏やかに過ごされている。声かけにも普段通り応じられている。
使う場面
毎日の記録が同じ表現になりやすい時に使えます。
ただし、実際に確認していない内容を追加しないよう注意が必要です。
プロンプト④ 申し送り文を作る
勤務交代時の申し送りは、短く分かりやすく伝えることが大切です。
長い記録をそのまま伝えるより、重要なポイントを整理した方が次の職員に伝わりやすくなります。
コピペ用プロンプト
以下の内容を、次の勤務者に伝える申し送り文として短く整理してください。重要な注意点が伝わるようにしてください。
【内容】
80代女性利用者。午前中からトイレの訴えが多い。排尿は少量ずつあり。昼食は半量程度。午後は眠気が強く、レクリエーションには参加されず。夕方に再度トイレ希望あり。
出力例
午前中よりトイレ希望が多く、排尿は少量ずつ見られています。昼食は半量程度で、午後は眠気が強くレクリエーションは不参加でした。夕方にもトイレ希望があるため、排尿状況と体調変化に注意してください。
使う場面
早番から遅番、日勤から夜勤への引き継ぎ時に使えます。
特に、注意して見てほしいポイントを整理したい時に便利です。
プロンプト⑤ ヒヤリハットの内容を整理する
ヒヤリハットを書く時は、状況、原因、対応、今後の対策を整理する必要があります。
しかし、忙しい中では内容がまとまらないこともあります。
コピペ用プロンプト
以下の内容を、ヒヤリハット報告として整理してください。
「発生状況」「対応」「考えられる要因」「今後の対策」に分けてください。
個人を責める表現ではなく、再発防止につながる表現にしてください。【内容】
利用者が椅子から立ち上がろうとした際、ふらつきあり。近くに職員がいたため支え、転倒には至らなかった。普段より眠そうな様子があった。足元にスリッパが少しずれていた。
出力例
【発生状況】
利用者が椅子から立ち上がろうとした際にふらつきが見られた。近くに職員がいたため支え、転倒には至らなかった。
【対応】
職員が身体を支え、安全を確認した。その後、座位を保持していただき、体調や表情を確認した。
【考えられる要因】
普段より眠気が見られていたこと、足元のスリッパがずれていたことが影響した可能性がある。
【今後の対策】
立ち上がり時の見守りを強化する。眠気が強い時は移動前に声かけを行い、足元の状態を確認する。
使う場面
転倒未遂、誤薬未遂、離設未遂、食事中のむせ込みなど、事故には至らなかったけれど共有が必要な場面で使えます。
プロンプト⑥ 家族向けの報告文をやわらかくする
家族への報告では、事実を伝えながらも、不安をあおりすぎない表現が求められます。
ChatGPTを使うと、文章の言い方を整えることができます。
コピペ用プロンプト
以下の内容を、ご家族向けに丁寧で分かりやすい文章にしてください。必要以上に不安をあおらず、事実と対応が伝わる表現にしてください。
【内容】
本日昼食時に軽いむせ込みあり。水分摂取後は落ち着いた。食後も大きな変化なし。今後も食事中の様子を見守る。
出力例
本日の昼食時に軽いむせ込みが見られましたが、水分を摂取された後は落ち着かれています。食後も大きな変化は見られていません。今後も食事中の様子を注意して見守ってまいります。
使う場面
連絡帳、家族向け報告、面会時の説明内容を整理する時に使えます。
ただし、施設のルールや上司の確認が必要な場合は、必ず職場の手順に従いましょう。
プロンプト⑦ 記録文を短く要約する
長くなりすぎた記録は、重要な情報が埋もれてしまうことがあります。
ChatGPTに要約してもらうことで、申し送りや会議資料に使いやすくなります。
コピペ用プロンプト
以下の介護記録を、重要な情報が伝わるように100文字程度で要約してください。状態変化、対応、今後の注意点を含めてください。
【記録】
午前中は共有スペースで過ごされ、職員の声かけに笑顔で応じられていた。昼食は主食7割、副食8割摂取。食事中に一度むせ込みが見られたため、職員が声かけし水分摂取を促した。その後は落ち着いて食事を再開された。午後は居室で休まれ、夕方のトイレ誘導には応じられた。
出力例
日中は穏やかに過ごされ、昼食は概ね摂取。食事中に一度むせ込みあり、水分摂取後は落ち着かれた。今後も食事中の様子に注意する。
使う場面
会議資料、申し送り、経過報告、モニタリングの下書きなどに使えます。
プロンプト⑧ ケアプランや個別支援につながる視点を整理する
介護記録は、ただ出来事を残すだけではありません。
記録を積み重ねることで、個別支援やケアの見直しにつながります。
コピペ用プロンプト
以下の介護記録から、今後の個別支援に活かせそうな視点を整理してください。断定せず、考えられる可能性としてまとめてください。
【記録】
午前中は他利用者との会話に笑顔が見られた。午後の集団レクリエーションには参加されたが、途中から表情が硬くなり、職員の声かけに「疲れた」と話された。その後、居室で休まれると落ち着かれた。
出力例
今後の個別支援に活かせそうな視点として、他利用者との会話は楽しみにつながっている可能性がある。一方で、長時間の集団活動では疲労が出やすい可能性が考えられる。短時間の交流や、途中で休息できる環境を整えることで、本人の負担を減らしながら活動参加を促せる可能性がある。
使う場面
モニタリング、担当者会議、個別支援計画、日々のケアの見直しに使えます。
あなたが感じている「個別支援を強化したいけどアイデアが浮かばない」という悩みにも役立つ使い方です。
プロンプト⑨ 介護記録の表現を丁寧に言い換える
記録では、表現の仕方によって印象が変わります。
きつい表現や曖昧な表現を、丁寧で客観的な表現に直したい時に使えます。
コピペ用プロンプト
以下の介護記録を、丁寧で客観的な表現に言い換えてください。利用者を否定する表現は避け、観察できた事実を中心にしてください。
【文章】
何度も同じことを聞いてきて、対応に時間がかかった。
出力例
同じ内容の質問が複数回聞かれたため、その都度職員が説明を行った。説明後は一時的に納得される様子が見られた。
使う場面
認知症の方への対応、拒否があった場面、不安の訴えが多い場面などで使えます。
「困った行動」として書くのではなく、「どのような様子があり、どう対応したか」を残す意識が大切です。
プロンプト⑩ 記録から部署内への共有文を作る
記録内容をもとに、部署内で注意喚起や情報共有をしたい時があります。
しかし、部署内に発信する文章は、言い方が難しいものです。
ChatGPTを使えば、責める表現を避けながら、協力をお願いする文章に整えられます。
コピペ用プロンプト
以下の内容をもとに、介護職員向けの共有文を作成してください。責める口調ではなく、協力をお願いする柔らかい表現にしてください。忙しい職員でも読めるように、300文字以内でまとめてください。
【共有したい内容】
最近、食事中のむせ込みが複数回見られる利用者がいる。食事姿勢、食事ペース、声かけ、水分摂取の確認を職員間で統一したい。
出力例
食事中にむせ込みが見られる場面が続いているため、食事介助時の対応を職員間で確認したいと思います。食事前の姿勢確認、食事ペースへの配慮、必要時の声かけ、水分摂取の様子などを意識しながら見守りをお願いします。気づいたことがあれば記録や申し送りで共有し、安心して食事ができる環境づくりにつなげていきましょう。
使う場面
委員会からの周知、フロア内の共有、申し送りノート、業務改善の呼びかけなどに使えます。
部署内に発信する文章が思いつかない時に、特に役立つ使い方です。
ChatGPTで介護記録を作る時の基本テンプレート
毎回プロンプトを考えるのが面倒な場合は、次のテンプレートを使うと便利です。
以下の内容を、介護記録として分かりやすく整理してください。
条件は以下の通りです。
・個人情報は含めない
・事実のみを書く
・推測や決めつけは避ける
・専門職に伝わりやすい表現にする
・必要に応じて簡潔にまとめる【内容】
ここにメモを入力する
このテンプレートを使えば、食事、排泄、入浴、活動、申し送りなど、さまざまな場面に応用できます。
ChatGPTを使った記録作成の流れ
実際に使う時は、次の流れがおすすめです。
- 現場で見た事実をメモする
- 個人情報を削除する
- ChatGPTに文章を整えてもらう
- 出力された文章を確認する
- 事実と違う部分を削除する
- 自分の職場の書き方に合わせて修正する
- 必要に応じて上司や看護師に確認する
この流れを守ることで、AIを安全に活用しやすくなります。
特に大切なのは、「ChatGPTの文章をそのまま記録に貼り付けないこと」です。
最終的には、現場を見た職員自身が確認し、自分の責任で記録する必要があります。
よくある失敗例
ChatGPTを介護記録に使う時には、次のような失敗に注意しましょう。
失敗例① 情報を入れすぎる
具体的な名前や施設名、病名、家族構成などを入れてしまうと、個人情報の問題につながります。
必ず一般化して入力しましょう。
失敗例② AIが作った文章をそのまま使う
AIは、入力していない内容を自然に補ってしまうことがあります。
例えば、実際には確認していないのに「表情は穏やかだった」「痛みの訴えはなかった」などと出力する場合があります。
確認していない内容は必ず削除しましょう。
失敗例③ 記録がきれいすぎて現場感がなくなる
ChatGPTの文章は整っていますが、現場で使うには少し堅すぎることがあります。
職場で普段使っている表現に合わせて、自然な記録に直すことが大切です。
まとめ
介護記録は、利用者の状態を共有し、ケアの質を保つために欠かせない大切な業務です。
しかし、日々のルーティン業務で手一杯になる中で、記録作成に時間をかけるのは簡単ではありません。
ChatGPTを活用すれば、
- 箇条書きメモを記録文に整える
- 主観的な表現を客観的に直す
- 申し送り文を作る
- ヒヤリハットを整理する
- 家族向け報告文を整える
- 個別支援につながる視点を整理する
- 部署内への共有文を作る
といった作業を効率化できます。
ただし、個人情報を入力しないこと、AIの回答をそのまま使わないこと、最終判断は人が行うことは必ず守りましょう。
ChatGPTは介護記録を代わりに書く道具ではなく、忙しい介護職の文章作成を助けてくれる補助ツールです。
うまく活用すれば、書類業務の負担を減らし、利用者と関わる時間や個別支援を考える時間を増やすことにつながります。
